旧大乗院  平安・室町時代  池泉舟遊式
奈良市高畑町語御所馬場1096(奈良ホテル横) 
  この寺の創建はおよそ1100年頃のようだ。藤原氏の興福寺の一部として作られているので歴代の住職は藤原氏関係だ。庭園が造られたのは平安時代末期の1150年頃かと推定されている。池の南西には寝殿造りが建てられ、いまの奈良ホテルのある山頂部には堂塔を作ったという。しかし明治時代初期の廃仏毀釈に遭い、庭園の石はことごとく持ち去られてしまった。藤原一門の「作庭記」風(寝殿造り、極楽浄土)の庭が少ないだけに非常に残念である。ただ地割はそのまま残っているし、汀線とその玉石が残っているので当時の面影をしのぶことは出来る。平城京の東院・左京三条二坊宮跡庭園と合わせて観察すると当時の庭園像がよみがえってくる。時代は古いが内容はモダンである。

▲広大な庭園  かつては龍頭鷁首の舟で舟遊びがなされていたであろう

▲東南部の島
作庭記では島は雲形、霞形とも石もなく植木もなくて、一面に白州であるべき、と書かれている
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