訪問した街と聖堂 サン・ドニ修道院
特徴 初めてのステンドグラス、ゴシックの始まり
ゴシック様式の建築はサン・ドニ修道院に始まる。現在はパリの郊外にあってやや目立たない存在であるが、それはフランス革命で西正面にあった人像円柱などが破壊されたりしたからであろうか。しかし、ゴシックを語る際にはここから始めねばならない。1122年シュジュールが修道院長になるや、彼は直ちに修道院の大改築を始めた。そもそも彼は極貧の生まれで修道院に寄進された身であった。11歳で修道院の付属学校へ入学した。幸運なことに後のフランス国王になるルイ6世と学友になる(かねてよりこの修道院は歴代のフランス国王の埋葬教会であった)。世辞に長けた彼は王権をバックに数々の改築を行った。1140年に完成した西正面には「………愚かなる心は物質を通し真実に達し………」と刻ませたように、一般大衆を教化するのには下手な説教よりも彫刻、ステンドグラスなどにより、神の国や地獄を実感させたのである。 1144年に完成した内陣は7つもの放射状祭室を持ち、その壁面は始めて大々的にステンドグラスに開放された。ステンドグラスにより従来の薄暗い瞑想の場から神秘的な光の空間になった。この成功により「神は光なりき」の信仰が盛んになった。後は光と高さを求めてボーヴェの聖堂が崩壊するまで、ヨーロッパ都市間でより大きなステンドグラスと、より高い塔の大聖堂建設の大競争時代に突入する。なお技術的な開発としてはリブ・ボールト、尖頭アーチ、フライング・バットレスが完成する。
 尚この教会は歴代王室の埋葬教会の故もあってフランス革命当時、彫刻などは破壊された。

▲パリより北へ地下鉄で 現在はアフリカなどの出身者の居住区

▲ステンドグラスの巨大化と彩色化はここより始まる。シュジュールはボーヴェのサンテチェンヌ教会の「運命の丸窓」から霊感を受けたと言われている

▲ステンドグラス

▲祭壇のステンドグラス
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