ボーヴェ   究極のゴシック様式・サン・ピエール大聖堂とサン・テチェンヌ教会
  10世紀に創られた大聖堂は1225年に一部を損傷したために全面的改修が行われた。1227年に着工し1272年に完成した。内陣は二重側廊でスパンは17mであるが、3ベイのみ。天井は高さ47mの四分リブヴォールト。大アーケードは高さ21m、高窓17m、トリフォリューム4m。しかし天井の一部が1284年に落下した為、身廊のピア間に1本ずつピアを増設し、六分ヴォールトとした。

▲外観

▲内陣

▲交差部と内陣

▲壁面構造

▲交差部には現在木製の補強在が施されている

▲美しいステンドグラスが多くある

▲フレスコ画

▲ボーヴェの駅の近くのサンテチェンヌ教会の「運命の丸窓」があるがバラ窓の原点といわれている

「運命の丸窓」について「ほあぐら」さんにお尋ねしたところ、以下のような御教授がありましたので、そのまま記載いたします。

 サン・ドニのバラ窓がシュジェールによって完成された際、ボーヴェ・聖(サンテ)エチェンヌの「運命の車輪」から大きな啓示を受けていたんですね。
 実際、両方の窓を比べてみますと、聖エチェンヌの12本のロマネスク的円柱がサン・ドニではバラの花弁に変化しています。また、サン・ドニでは、バラ窓の四隅に、四福音書家を象徴する動物(人間・鷲・獅子・牛)像が新たに配されています。
 そんな変化は見られるものの、サン・ドニの意匠が聖エチェンヌの「運命の車輪」から出発していることは明らかです。聖エチェンヌが1110年ごろ、サン・ドニが1140年に完成しています。
 聖エチェンヌのバラ窓を見た時、まず中心から放射状に12本の柱頭の付いた円柱が組まれているのに気がつきました。中心にキリストの存在が暗示され、12本の柱は十二使徒を表現しているんだろうと感じました。
 シャルトルのバラ窓でも、やはり12個の花弁が配されています。
 サン・ドニの四福音書家の動物像の存在はロマネスク的であり、円の中心に救世主たる黙示録のイエスが存在することを暗示しています。
 「運命の車輪」の輪郭を見ますと、輪の右側から人間が這い上がろうとしており、てっぺんには勝ち誇ったように立つ人間達、そして輪の左側には輪から滑り落ちていく姿が彫られています。
 この輪がぐるりと回転してしまえば、てっぺんに威張っていた人間も、あっという間に滑り落ちてしまうという、予測のつかない人間の運命の空しさみたいなものを示しているのではないでしょうか。


▲外観
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