コルヴァイ修道院聖堂(873〜885年)とゾーストの中世都市
  コルヴァイ修道院はカロリング朝以来の伝統である「西構え」の唯一の現存例である。
  西構えとは「カロリング朝のバシリカ型聖堂の西側に接して建てられた半独立の聖堂。多層になった内部と3本の塔を持つ外観を特徴とする」。塔はギリシャ・ローマの建築にはなく、またビザンチンの建物にも例がない。突然にフランク王国を統一したカール大帝の時代(カロリング王朝)に出現した。この伝統はフランク王国の分裂(843年)後、混乱を収拾したザクセン家のハインリッヒ1世とその息子オットー大帝のオットー朝にも引き継がれ、更に「ロマネスク時代からゴシック時代に引き継がれた。中世のヨーロッパの人々が抱きつづけてきた塔への憧憬は最終的にはケルンの大聖堂で帰結した。
  蛇足ながら付け加えると、ロマネスク時代は多塔式聖堂であったが、ゴシック時代になると西構えの塔が発展して西側の塔の建設に勢力が集中してしまう。しかしその塔はあまりにも壮大になりすぎて塔の完成に至らなかった例が多い。例えばラン・ランス・アミアン・パリのノートルダム大聖堂など。
  現在完全な形で残っている西構えは一つもないが、このコルヴァイは構成の改変を受けながら本来の西構えの内部空間を今日のとどめている。この他西構えの様子を示している聖堂はシュパイアー大聖堂、ケルンのザンクト・パンタレオン、、ソースト大聖堂(1塔型)、など。西構えがあったことがわかっている例としてはロルシュ、ケントゥーラ、ランス、ヒルデスハイム、ヴォルムスなどである。
  では、ギリシャ・ローマ・ビザンティンになかった塔がなぜカール大帝の時代に出現したのであろうか。現在の説では「皇帝聖堂説」が有力だ。即ち皇帝が東側にある聖堂に向かって西側の二階から礼拝を行えば
聖堂(神)を俯瞰でき、聖堂内の人々からは西日の後光に包まれた皇帝を見ることになる。このような構成にすることが出来たのは皇帝が絶対的なな権力を確保できたカール大帝やオットー大帝のときだけで、以後は廃れていく。因みにアーヒェンのドームの二階には皇帝の玉座があり同じような構成である。
参考文献 「西構えから2塔型西正面へ」 辻本敬子  小学館 世界美術大全集 ゴシック1
       「オットー朝美術」        長塚安司   小学館 世界美術大全集 ロマネスク       

▲コルヴァイ修道院は「西構えの」典型

▲中央部

▲コルヴァイ修道院書面の上部  外観だけでローマ時代の要素が窺え、壮観な感じを受けた

▲西構え二階の中央広場

▲堂内の柱頭はローマ式

▲乙女たちが支えるバルコニー。このように上半身裸で、衣をたくし上げた姿では、ありがたいお説教も耳に入らないのではないか。
  
▲この町にはロマネスク様式の聖堂はいくつもあるが、自動車でたどり着くまでに疲労困憊してしまった。
  ソースと大聖堂の見学は外観のみ。一塔式の西構え

▲玄関先のバラ

▲マルクト広場に面したホテル(中央に宿泊)

▲古い民家があちらこちらに見ることができる
ドイツレンタカーの旅
  今までレンタカーを使用した旅はイギリス、フランスとスペインのサンチャゴへの巡礼の道で、相当の長距離を移動した。自由があって非常に便利であった。ところが今回のドイツにおいては結構不便なことがあったので、参考までにメモをした。
1.便利なところ
@全国に張り巡らしてあるアウトバーンは完全無料
A交通信号がいたるところにあり、地図を持っていれば迷うことがない
B交差点などのルールが曖昧でなくハッキリしているので解釈に混乱がない
C荷物は背負うことなく、どこにでも移動ができる
Dガソリンスタンドで食事はできるし、地図、食料も売っている。大まかな地図は日本であらかじめ購入してルートを調べておくが、地方のシティーマップは最寄のガソリンスタンドで購入し旧市街に乗り入れる
Eホテルのリザーブをせずに田舎のドライブを満喫できる。今回は景色の良いアルプス沿いの街をブラリと訪れ、少しイタリアをのぞいたり、オーストリアのチロル地方、ドイツ南部をドライブした。。ホテルはいたるところにあり、もしなくても隣の町を訪ねたり、自動車の中で泊まっても良い。
2.困ったこと
  私の旅の主な目的が中世以来の古い修道院や大聖堂を訪ねることにある。よって旧市街は一様に小さく、込み入って、道路の幅が狭く、山の上にあり、一方通行、ホテルに駐車場がない。など不便な条件がふんだんに揃っている。中世の街はドイツに限らずどこの国でもそうであるが。
@一方通行がほとんど。地図上では行けても、実際にいってみると進入できない。
Aホテルに駐車場がないので、やっとホテルにたどり着いても、そこから駐車場に車を移動する必要がある
B街によっては城壁の中の旧市街にはパーキング場がないことがある。住人のみが使用できる。
3、結論
@レンタカーは田舎で借りて田舎で返す
A風光明媚な田舎の旅に便利。きれいな景色のあるところを自由に巡ることができる
B中世より歴史のある教会、城のあるところは出来るだけ避ける
Cそれでも小さな古い街に泊まるときは、なるべく城壁の外か、城壁の付近にする
D予めホテルからアクセスマップを入手していく(インターネットサービスが結構ある)
備考
  ゾーストは最も苦労した、今まで何度も苦難を乗り越えて旅をしたが、最後の宿泊地(レンタカーを返す場所)が最も困難であり、道に迷い、皆さんに訪ねたが埒があかず途方にくれたたときは思わず涙が出てきた。しかし捨てる神あれば、拾う神ありだ。丁度タクシーがすぐ横で客を下ろしたのだ。慌ててタクシーを捕まえた。先ずホテルについて行き、荷物を降ろし、レンタカーを返却し(郊外の15分も先)、今度はタクシー乗りホテルに帰ってきた。あーこれで旅が終わったのだと実感した。
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